NIPT(新型出生前診断、もしくは新型出生前検査)以外にも出生前診断はいくつかあり、どの検査を選ぶか迷うかもしれません。また、そもそも出生前診断するか迷いもあると思います。
まずはNIPTが何なのかからおさらいをしてみましょう。
NIPTとは?
NIPT(新型出生前診断)とは、妊婦さんの血液中にある胎児の染色体を調べて先天性の染色体異常があるかどうかを調べる検査です。高齢出産が増えてきた昨今では多くの妊婦さんが受けています。
血液を採取するだけなので羊水検査のように穿刺をすることもなくリスクや負担が少ないのが特徴です。ここ数年受けられる医療機関も急増しています。
染色体についてはこちら⇒『染色体と遺伝子について』
NIPTを行うメリット
母体や赤ちゃんへの負担を少なく精度の高い出生前診断ができる
NIPTはお母さんの血液から、胎児の染色体・遺伝子異常を検査する方法です。ほかの出生前診断よりも精度が高く、99.0%以上の確率で病気の有無を判定できると考えられています。この数字は、母体血清マーカー検査やコンバイン検査よりも高く、NIPTの精度の高さが分かります。
※参考:出生前診断として従来おこなわれている「超音波検査」や「母体血清マーカー検査」がありますけど、精度はどれも80~85%程度です。
また、絨毛検査や羊水検査は子宮や胎盤に直接注射針を刺すため、流産や早産のリスクが高くなります。そのため、いきなり絨毛検査や羊水検査をするのではなく、先にリスクの低いNIPTで確認して、陽性の可能性があった場合のみ追加で絨毛検査・羊水検査によって確定診断するかを決められることがメリットでしょう。
赤ちゃんの受け入れ準備ができる
NIPTを実施するメリットは、事前に胎児の遺伝子異常を確認し、産まれたときの準備ができることです。
現状ではNIPTで判明した染色体異常に対し、治療を行えるわけではありません。産まれたときに染色体異常が判明するのか、出生前診断で事前に把握しておくのかを選択できます。
もしNIPTで陽性が出たら、赤ちゃんが産まれるまで心の準備を整える時間があると考えるお母さんもいます。
採血だけで出生前診断ができるNIPTは、母体や胎児に影響を与えることなく検査できることがメリットです。また、胎児ドックでは分からなかった染色体・遺伝子異常を直接検査できます。
NIPTを行うデメリット
NIPTでは特定の染色体異常を検出するため、すべての染色体異常が分かるものではありません。また、検査には専門的な技術が必要なため、結果が出るまでに1〜2週間程度かかります。
NIPTには、出産前に染色体異常を把握できるメリットがある一方、費用が高いことや分かる疾患が限られていることなどデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで、NIPTを受けるか判断しましょう。
ここでは、NIPTのデメリットを3つ紹介します。
必ずしも陽性陰性とはっきりした結果が出るわけではない
NIPTの精度は99.0%と報告されていますが、約1.0%は実際に病気がなくても陽性と判定されてしまいます。NIPTで陽性となった場合、絨毛検査や羊水検査で確定診断するため、NIPTで誤って陽性になっても確定診断で陰性になります。
しかし、NIPTで陽性と判定された場合、非常に強い不安を感じるでしょう。実際には陽性でなくても、それが判明するには確定診断の結果を待たなくてはなりません。本当に我が子に染色体異常があるのか、陰性でありますように、とお母さんや周囲の人々は検査結果に振り回されることになります。
そのため、NIPTを受けるときは検査をよく理解したうえで、適切なカウンセリングが受けられる医療機関を選ぶのがよいでしょう。
NIPTでわかる疾患は限られている
NIPTはいくつかの染色体異常を発見できますが、どんな疾患も発見できる万能な検査ではありません。NIPTで分かることは、主に次のとおりです。
・13トリソミー
・18トリソミー
・21トリソミー(ダウン症)
・ターナー症候群
・クラインフェルター症候群
・猫鳴き症候群
・トリプルX症候群
・ウォルフ・ヒルシュホーン症候群
・ディジョージ症候群
・1p36欠失症候群
・アンジェルマン症候群
主に染色体の数に異常があるケースや、遺伝子に欠損があるケースを発見できます。しかし、心臓や骨、内臓の先天性疾患はNIPTでは分かりません。
つまりすべての染色体・遺伝子異常が分かるわけではないのです。
費用が高い
NIPTは自由診療になるため費用が高額なこともデメリットの1つです。基本検査料として20万円前後の費用がかかり、さらに多くの疾患を検査しようとするとオプション費用がかかります。
母体血清マーカー検査やコンバイン検査など、従来の出生前診断は5万円以下で検査できるため、NIPTは割高に感じるかもしれません。
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